厄介なkissを、きみと
「手で押さえるとか、ないわけ?
この、酔っ払い」
「……酔ってません」
「うそつけ。酒くせぇし」
「うっ…、うそっ。ほんとに!?
く、くさい!?」
確かに飲んできた。
今日もまた、蒼井さんと。
でも、そこまで飲んだ覚えはないし、ガムだってずっと噛んでいたし。
口元を両手で覆い、翔平に気づかれないように、はぁっと息を吐き出してみる。
「うそ。じょーだん。くくくっ」
「………」
翔平は、ボスッと音を立ててシートに体を預けた私を見ると、声を上げて笑った。
「あー、笑った、笑った。
で?その、あおいさんって人は、キレイなの?」
ひとしきり笑ったあと、翔平がそう聞いてきた。
「……うん。綺麗。すごく」