厄介なkissを、きみと

「……なによ。泣いてほしいの?」

平静を装う私に、翔平が驚いた表情をしてみせた。

そんな言葉を聞かされるとは思っていなかったようだ。


形勢逆転、と喜んだけれど、それはほんの一瞬のこと。


すぐに余裕の表情に戻した翔平の、

「見たいかも」

そう動いた唇が、ゆるやかな弧を描いた。


「………っ」

体温が一気に上昇する。


なによ、それ。


翔平の胸元を押していた右手を振り上げた。

返答次第では、本当に引っ叩いてやる、と思っていたから。

けれど私の右手は、乾いた音を響かせることなく動きを阻まれてしまった。

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