神様修行はじめます! 其の四

「浄火、これ、どうやって入るの? 急がないと子作りマシーンが来ちゃうよ」


「階段で甲板まで上がるんだ」


「階段? ないじゃん。そんなものどこにも」


船底部分を手の平でスリスリと撫でながら、あたしはキョロキョロ探した。


それにしても、これって漆塗りの木造船だとばかり思ってたけど違うのね?


この手触りは木じゃない。


冷たくてサラサラしてて・・・うーん、ゴムか?


ありがたい貴重な宝船が、ゴム製? 


なーんか夢も希望も無いわね。現実ってこんな、もの・・・


ん?


あたしは眉間にシワを寄せ、ゴムに顔を近づけた。


そして、指先で何度もグニグニと強く押してみる。


これって・・・ゴムって言うよりもウロコじゃないか?


弾力があって、妙に凸凹感がある・・・


―― グニッ!


あたしが指で押していた部分が、突然グニュグニュッと蠢いた。


・・・へっ!? なに!?


ビックリして手を引っ込める。


蠢く部分が、まるで波紋が広がるようにどんどん広範囲になっていく。


やがて船底全体が、生き物のように脈動し始めた。


この船、生きてる!? 船全体が生きているんだ!


っていうか、膨大な数の同じ生き物が集合して船の姿を形どっている!


冷たくて、ゴムみたいな感触で、ウロコみたいな生き物?


グニグニと、動、く・・・?


・・・・・・・・・・・・。


明確に『それ』がなんであるかを認識したあたしは、その場で絶叫した。


「これってぜぇんぶ、ヘビぃーーー!?」

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