神様修行はじめます! 其の四

「あら? あれは海じゃありませんの?」


ヘビに睨まれたカエル状態で脂汗をだらだら垂らしていると、お岩さんが声を上げた。


差された指先をまっすぐ目でたどると・・・


「・・・うわあぁ! なにあれー!?」


陸地の向こうの完全に開けた視界に、一面の大海原が大展開していた。


果てなく広がるその光景は、まさしく海と呼ぶものだろう。


だけど・・・・・・


「オーロラだ! 海の水がオーロラだ!」


アラスカとかで見られる、あのオーロラそのものが目の前にあった。


黄緑色、緑色、ピンク、赤、紫、黄。


微妙に混じり合った色彩の、天に揺らめく巨大なカーテンそっくり!


違う点は天から降る光ではなくて、オーロラが地に横たわっているところ。


カーテンが風に揺れるようなあの動きが、ちょうど波の動きになっている。


神秘極まる目の前の光景に、あたしとお岩さんは歓声を上げた。


「なんなのー!? なんなのあれ!?」


「なにって、だから海だろうが」


「海ですの!? あれが海ですの!? あれのどのへんが海ですの!?」


「どのへんもなにも、全部海だよ」


「「キャー! 綺麗ーー!」」


まさか真っ昼間から、こんな見事なオーロラを見るなんて。


なんて幻想的なんだろう! 夢の世界のよう!

< 208 / 697 >

この作品をシェア

pagetop