神様修行はじめます! 其の四
こちらと、あちら

「突き落せ! その異形を突き落せ!」


殺気立った声が聞こえてきて、あたしはハッと顔をあげた。


「そうだ! 長様のお許しを得るまでもない!」


「その赤鬼は島の大事な子どもを殺したんだ! 今すぐ処刑しろ!」


赤鬼!? しま子!?


目の前を横切る坂道の先は崖になっていた。


その先端に黒山の人だかりが見える。


みんなひどい興奮状態で、めいめいが叫び合って大騒ぎしている。


あれは島の人たちだ! 良かった間に合ったんだ!


「しま子! しま子ーーー!」


「おい! みんな落ち着け!」


あたしを背負ったまま、浄火が怒鳴りながら皆の方へ向かった。


その声に振り向いた人達が声をあげる。


「おお、浄火! みんな、浄火が来たぞ!」


「浄火見てくれ! 島の子どもが・・・!」


ザッと人垣が割れる。


島の人々の痛ましい視線の奥に、地べたに座り込んで泣き叫ぶ女性がいた。


その女性が、覆い被さるようにして抱きかかえているのは・・・・・・


子ども。

たぶん、まだ十歳にもならないくらいの。


ダランと垂れ落ちた腕を覆う袖は、赤黒く染まっている。


力の抜けた小さな手は、血糊で真っ赤だった。


あの子が・・・・・・?

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