神様修行はじめます! 其の四

今の話が本当なら、ババにとって子作りマシーンって敵でしょ?


でも今、あのふたりって悪の同盟じゃん?


なんで憎むべき相手と手を組んでるのよ?


あ、ひょっとして出会った瞬間、運命的な愛でも芽生えちゃったのかな?


「愛など芽生えるものか。信子はあの男に脅されたのだ」


長さんが嫌悪に満ちた声で吐き捨てた。


「拒み続ける信子に、言うことを聞かねば権田原の里を潰すと脅迫したのだ」


「・・・え?」


「皆に迷惑をかけたくない一心で里を出た信子に、その脅しは致命的であった」


「そんな・・・」


お岩さんが悲壮な顔で絶句する。


権田原を守るためにババは犠牲になったの? 


それじゃまるで生贄じゃん!


好き勝手にされて、オモチャに飽きたら、さっさと島送り?


そんな仕打ちを、里を出て独りぼっちだった彼女は、ずーっと耐え続けたの?


「お姉・・・さん・・・」


お岩さんは、痛みに堪えるように胸に手を強く当てる。


『子どもが大好きで、親切で優しくて、大好きだったお姉さん』


聞いた時は信じられなかった昔の彼女の姿が、今なら容易に想像できた。

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