神様修行はじめます! 其の四

「下りるぞ! しっかりつかまれ!」


その言葉と同時に絹糸は、すごい勢いで一気に急降下する。


飛行機で急降下したみたいに耳の奥がキンとなって、内臓がゾワッと浮き上がった。


「痛ててててーー!」


また浄火が堪らず悲鳴を上げる。浄火、そういう時はツバ飲み込んでツバ!


「ジュエル様!?」


勢いの強い風に顔をしかめるあたしの後ろで、セパスチャンさんが大声を上げた。


え!? お岩さん!? どこ!? どこどこどこ・・・


「・・・・・・!」


視界の下に、お岩さん発見! 良かった無事だ!


喜んだのもつかの間、彼女の恰好を見たあたしは目を丸くする。


お岩さんは、真新しい真っ白な単衣の着物を着ていた。


あの恰好って・・・


時代劇で見る、新婚初夜の新妻が、いざこれから・・・って時に来てる着物じゃんか!


なんなのよ、あれは!?


最悪の恰好をしたお岩さんは、廊下の柱に両腕で必死にしがみ付き、何ごとか叫んでいる。


その彼女の胴に手を回し、力任せに柱から引き剥がそうとしているのは子作りマシーンだ。


ふたりのすぐ後ろ、開け放たれた和室の中には、布団が一組敷かれている。


ふたつ並んだ枕が見えて、あたしの頭からスッと血の気が引いていき・・・


次の瞬間、大川の氾濫みたいにドオォッと沸騰した血が大逆流した。


あ・・・あのじじぃーー!


今まさにこれから、子作りしようとしてんのか!?


「嫌あぁぁ! 遥峰助けて! 遥峰えぇぇ!」


「ええい! いい加減に観念せんか! なんとしぶとい娘じゃ!」

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