神様修行はじめます! 其の四

目に痛いほどの赤い炎が鮮烈に周囲を染める。


巨大イソギンチャク本体を包み込む滅火の炎は、思う存分暴れまくった。


天に向かって一直線に焔立つ紅蓮。


大気と鼓膜を揺るがす爆音。


あたしの内側から溢れるエネルギーに連動するように、ここぞとばかりに躍動する。


それはまさに、狂喜乱舞。


砂浜中を占拠していた無数の触手も、一本残らず猛り狂う炎の餌食となった。


声にならない断末魔の様子が、炎を通して手に取るように伝わってくる。


限りない阿鼻叫喚と、煉獄。


でもその中であたしの心は、不思議なほどに澄んでいた。


(あぁ・・・・・・)


炎。炎。この炎の存在。


あたしは目を閉じ、両腕を大きく広げる。


ドンッ、ドンッと脈打つような血の流れ。歓喜の鼓動。


感じる。

大気が鳴動する炎の息遣いと、あたしの細胞全てが同化している。


火が揺れるたび、あたしの命が呼吸し、揺れる。


連綿と受け継がれるあたしの世界。


これがあたし。


ただ、『あたし』。


神の力という、うわべの問題に迷っていたけど。


力が戻ったいま、やっと本当に理解できた気がする。


持てる者とか、持たざる者とか。


こっち側とか、あっち側とか。


違うんだ。


あたしは、あたしとしての存在に満ちて、この世界に生まれた。


だから、この命で精一杯に存在している。


それはこの世の、全ての命の姿。


羨みも、蔑みも、憎しみも・・・


そんなもの、この命と姿を前にしては、なにもかも『クソッ喰らえ』なんだ。

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