NENMATSUラプソディ
大学近くのカフェで、とりあえず熱いコーヒーを飲む。

 顔を上げれば、よくできた顔がにこにこしている。全く理解できない。なんだろう。何が進行しているのか、ここ異次元とかじゃないよね?

 「あのさ、あのあなたさ、ホスト、だよね?」
 「うーん、正確にはただの大学生。ホストは、友達に頼まれた時にちょっと手伝ってるだけ」

 頭を抱える。何?私は年下の大学生に、言い様に遊ばれましたっていうやつか……。

 なんという情けなさ。今年一番の情けなさだよこれ……。

 合コンで全敗の方が罪がない。地の底に沈んでいくような気がする。なんだろう。厄年?それとも天中殺?
 それにしても。ただ手伝ってるだけにしちゃ羽振りが良すぎない?私みたいの捕まえて、ATMにでもしているのだろうか。は!!こんな風に関係を結んでおいて、あとからじわじわと金銭を要求するとか!!

 ああああ!なんてことだよ、私!!馬鹿にもほどがある!!もうこれきりにしなくては!

 ここで会えたのがせめてもの救い!最近のあれやこれやは良い社会勉強だと思ってきれいさっぱり忘れてしまおう!

 そう決意し、私は立ち上がる。逃げねば!カモにされるわけにはいかない!!

 「どこ行くの?」
 「えーっと、ちょっと電話に……」
 「電話するだけなのに、荷物も全部持ってるって何?」
 「えーっとえーっと」
 「なんで、逃げんの?」

 ひいいいいい!逃げるのあたりまえじゃん!

 「えーっと、あのね、あのその……」

うまい言い訳うまい言い訳!!がー!!でてこないー!!
 まごまごしてたら腕をがしりと掴まれる。こんなイケメンに手を掴まれているとか、どんな状況だという視線がぐさぐさ刺さる。

 「とりあえず目立つから座れば?」

 そう言われれば、私はおとなしく再び椅子に腰かけるしかない。ただでさえホスト氏は目立つし。座っちゃったけど、どうしたら逃げ切れるのだろうか……。
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