【完】キミと生きた証
瞬はあたしから体を離すと、力強い目であたしを見つめてる。


・・・初めて喋った日の瞬を思い出した。


目が離せないまま立ち尽くしていると、瞬の低い声があたしに届いた。



「・・・俺には・・ちとせとの未来が見えるよ。」



考えながら言葉を繋ぐ、瞬の声。

あたしはだまって聞いてた。



「退院して、ちとせは学校に戻って、仁奈子たちに囲まれて、笑って高校生活を送るんだよ。


放課後には俺が「勉強おしえろ」っておしかけてきてさ。


春には花見にいくし、夏には祭りにいく。秋の文化祭で・・また変な服きてさ。冬には毎年、このツリーを見に来るんだ。


来年も、再来年も・・・ずっとだ。」




「・・そんなこと・・」



あたしが言いかえそうとすると、瞬が携帯をポケットから引き抜いて、CHITOSEのストラップをあたしに見せた。




「”ずっと一緒に”いる。お前が俺のこと必要って思ったらどこからでもとんでく。俺にできることはなんでもする。だから・・・諦めないでほしい。」




瞬のきれいな瞳はあたしをまっすぐ見つめてる。



口下手な瞬が、一生懸命伝えた言葉。



・・・どれだけ大事にしてくれてるんだろう。




そんな瞬に、あたしができることは、生きることくらいっていうのもわかってる。



でも現実は・・・厳しいよ。



生きるって、誰でもできる簡単なことに、全然自信がもてないよ。




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