【完】キミと生きた証
「帰ろっか。しんどくねえか?おぶる?」


「大丈夫。歩けるよ。」



瞬とゆっくり家まで帰って、玄関の扉に手をかけた。



そしたら扉を引く手をとめられて


扉と瞬の間にいる私は、近すぎる瞬を見上げた。



「・・・ど、したの?」



「・・・キスしたい。」



「ここで・・?」


「いますぐしたい。」


そんなこと言われるの・・初めて。



あたしは瞬のまっすぐな視線をそらすことができなくて、



あっという間に唇を奪われた。


「・・は、恥ずかしいよ・・。」



「・・・カワイー。」


小さな声が、あたしの耳元で聞こえた。



胸がどきどきして、きゅんとなる。



「・・・ちとせ真っ赤。」



瞬は、ふっと笑って玄関の扉を引いた。



付き合って1年とちょっと。



瞬にはあたしより余裕ができてる。




・・・それはちょっと嬉しいような、さみしいような、悔しいような。




だってあたしは、ずっとずうっと、今でもどきどきしてるのに・・。



「おかえりなさい。早かったね。」



お母さんに真っ赤な顔がばれないように、真っ赤なマフラーに顔をうずめて、あたしの部屋に直行した。







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