【完】キミと生きた証

学校に行けば、まぁまぁ騒がしい教室で授業が進む。


休み時間、俺の席の前に誰か来た。


「瞬ー、ボッチは可哀想だから来てやったぞー。」


一馬を筆頭に去年のクラスのやつらが5、6人でぞろぞろと・・・。


それなりにうるさかった特進科の教室がものすごくうるさくなる。



「好きで一人なんだよ、同情すんな。」


「とかいってー、俺らが来て嬉しいんだろ?」


「瞬ちゃん、かわいくないねー!」



バカたちにバカにされるのは久々だ。むかつく。



「何?これ化学か?」



今、勉強してる最中なのが、こいつらには見えねえのか。



「・・邪魔ばっかしやがって。」


「てか特進科って女子いねえのか?」


「知らねえよ。」


「知らねえわけねえだろ!あ、いた。2人?」




すぐに女子観察に勤しむ。


こいつらは・・・。ぶれねえな。


「お?」


化学の教科書を片手に、一馬が声をあげた。


顔をあげれば、一馬はにやにやしてやがる。


「なんだよ?」



「・・・ヤったことねえとかいって、お誘いしてんじゃねえかよ!」



「・・あ?」



そう言って、みんなにもみえるように、教科書をおっぴろげた。



「”あとでちとせの部屋行こう”だって!!」


「うっわ、羨ましー!あのちぃちゃんと!」


「・・返せ!!」



俺が慌てて教科書を奪い取ると、みんななぜか遠い目をする。



「いいよなー。あのちぃちゃんが彼女とか。」


「こうやってやりたい放題?まじで羨ましい。」



「あのなぁ・・・。はぁ。もういいわ。」



俺が怒る気も失せて教科書をしまうと、一馬が「安心したよ。」って呟いた。



・・・色々と余計なお世話だ。



「教科書に書いたやつ・・そういう意味じゃねえよ。」


「え?じゃあまじでやってねえの?」


「だから、そういうために付き合ってんじゃねえの。」


「・・・可哀想に、チェリーか。」



・・・だ・か・ら。余計なお世話だ。





< 320 / 478 >

この作品をシェア

pagetop