【完】キミと生きた証
あと、もうひとつ、訂正しねえと。



「あと、ちとせに手だす気がないとかじゃねえからな。」



ちとせがきょとんとして俺を見つめるから、俺はちとせから目を背けた。



「・・俺、ちとせが色気ねえとか、思ったこともない。」


「あ・・。」



何の話か分かったんだろう。


ちとせが両手で真っ赤な頬を覆ってる。



「俺が言いたかったのは、今すぐにどうこうとかそういうことはしないっていう意味で・・。」



ちとせの体がそれに耐えれるように安定してきたら・・いつか。



っていうと、ちとせのせいみたいだな。



そうじゃねえ。


でもなんて言えば・・・。



口下手な俺がつくる沈黙を、ちとせはいつだって待っててくれる。



そんな風にゆっくりでいい。



ちとせに手だすのは、”いつか”でいい。




「・・・俺が、責任もてるようになってからが、いいから。待ってて。」



ちとせは小さな両手を俺に伸ばした。



窓枠を超えて、暖かい体がぎゅっと俺を抱きしめた。




「・・・ありがとう。」




って可愛い声と幸せそうな溜息が耳元で聞こえた。




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