【完】キミと生きた証
瞬はピンクの包みを覗いて「うまそう」って口元をほころばす。



けやきの駅は今日も静かで、誰か来る気配もない。



・・・いいかな?


いいよね・・・?



「しゅ、瞬・・・。」



あたしは瞬の学ランの胸元をちょっとだけ掴んで、近づいた。



「・・・キス、してもいい?」



こんな至近距離でこんなこというのは、ズルいかな?



息がかかりそうな距離。



瞬はびっくりしたのか、お菓子の包みを落としかけた。



「・・・へへっ。」



やっぱ、恥ずかしい・・。


真っ赤な顔で、あたしが笑うと



「・・・しねえの?」


って瞬が言う。



「す、する。」




ゆっくり、瞬の唇に近づいて、唇を重ねた。



あたしが瞬から離れると、瞬は真っ赤な顔を隠すように、片腕で顔を隠しながら上を見上げてる。




「どきどき、した?」


「・・・うるせぇ。」




あはっ。
大成功だ。





なにもかも忘れちゃうくらい、幸せで


こぼれる笑みをこらえきれなかった。





「ったく、どうしたんだよ?」



「だって、どきどきさせたくて。いっつもあたしばっかりなんだもん。・・けほっ。」


「咳、大丈夫か?」




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