【完】キミと生きた証
俺は、奥歯をかみしめて、黙ったままちとせを見つめてた。



俺の返事を待っててくれてる。


そんなちとせの目にはさっきよりも涙がたまって、もう少しで溢れそうだ。



「わかった・・から。」



震える声で返事をした。


ごまかすように、ちとせをぎゅっとだきしめると、ちとせは「よかった」って、同じように声を震わせた。



「あたしがいなくなっても・・瞬は・・っ。誰かを幸せにして、誰かに幸せをいっぱい、いっぱい・・・もらってね・・っ。」



そう言って、俺の右手の小指を自分の小指に絡めた。



大きな目から溢れた涙は、頬を伝って、シーツに落ちた。



・・・小さな体で、きっと毎日「もしもの死」を考えてるんだ。



よぎってはごまかしてる、俺と同じだ。




「ずっと傍にいたい。」



俺の口から、思ってることがそのまま飛び出した。



「・・・ん。あたしも。」



生きて、傍にいるだけ。


それだけでいい。



叶えてくれよ、なんでもするから・・・。



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