【完】キミと生きた証
木をくぐると、花壇の先に、人影が見えた。




ワンピースにカーディガンをひっかけて、長い髪の毛先は、ほんの少しくるくると癖づいて。




小さな背丈。真っ白な手足。



声を出そうと、息を吸ったその時だった。






ふわりと長い髪を揺らして、ゆっくり振りかえった、大きな瞳、赤らんだ頬。






・・・・・・居た。





「・・・あぇ・・・?」



「なんて間抜けな声・・、だしてんだよ・・・。」



息を切らせた俺。


そして、目をまんまるにして俺を見上げる...ちとせ。




「・・しゅ、瞬・・・?どうして・・・?」




ちとせにゆっくり歩み寄る。



一輪の花を片手に握り立ち尽くすちとせは、驚いた顔を変えず、微動だにしない。





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