【完】キミと生きた証
「あと10分で電車来るね。」


「あ・・・本当だな。」


瞬といると、時がたつのがあっという間なんだもん。

全部の沈黙をなくしてもっと話せたら・・・・。


いや、でもこの沈黙すら愛しく思うのはなんでだろう。



「・・・・あのさ。」



瞬が沈黙をやぶった。


「うん?」


あたしは瞬を見上げた。


優しい目元をみつめると、目線があたしから離れた。



「・・・アレ。行かね?」



そう言って彼の大きな手が指さした「商店街クリスマスツリー」のポスター。


「行きたい!!」



瞬は、間髪入れずに叫んだあたしの方を見た。



その頬は赤くて、すぐに目をそらす。


そんな表情を見ちゃったから、あたしの心臓はどきどき音を立てていて。



彼は咳払いを一つして、地面を見つめながら呟いた。




「じゃあ、24日でいいか?」


「うん!」



それはあまりに幸せな予定で、


家に帰ってからスケジュール帳の24日に、大きくハートマークを書き加えた。




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