【完】キミと生きた証
商店街の大きなクリスマスツリーの広告だ。


そっか。もうクリスマスだ。


「瞬はあのツリー見たことある?」


「いや、ねぇな。」


「あたしも。結構大きいんだって。」


「ふぅん・・・。」



沈黙が始まってしまう。


でも、なんでだろ。

隣にいるだけで、ドキドキして、なんか嬉しくて、でも落ち着かなくて。


頭の中で会話を探しながら、単語帳をまとめるリングを開け閉めしてた。




「それ、勉強?」


「うん。単語帳。もうすぐテストなんだ。」


「俺んとこも。」


「じゃあ勉強しないとだね。」


「したことねえよ。」


「え?!テスト前に!?」


「うちの高校のテスト、すっげー簡単だからな。」


「そうなんだ。」


いいなぁ・・・。
テストが簡単だなんて、言ってみたい。



「テストっていつだ?」


「来週から始まるよ。」


「いつまで?」


「えーっと…17日まで。」


「ふぅん。」



パチン・・・パチン・・・

沈黙に単語帳のリングを開閉する音が響く。



「あ。」



手が滑って地べたに散らばった。


カラフルな単語帳。




「すげぇカラフルだな。」



そう言って、さっとまとめて拾ってくれた。


外で冷えたのか、冷たい指先に触れた。


「ありがとう・・・。」



指がちょっと触れただけなのに、顔、熱い。


瞬はそっぽ向きながら後ろ頭を掻いてる。






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