【完】キミと生きた証



家の最寄駅に着いたら、いつもはお母さんのお迎えを頼むけど。


今日は駅からも歩きたい。


とぼとぼと歩く帰り道。



家の扉をゆっくりあけた。






「ただいま・・・。」


「おかえり。今日は歩けたのね。ツリー楽しかった?」


「うん。綺麗だった・・。」



「あら、そのマフラーどうしたの?」



にこにこ楽しそうに笑うお母さんの顔を見たら、なにかがはじけた。






「・・・瞬が・・くれた・・っ。うぅー・・。」



両目からぼたぼたと涙がおちた。



突然泣き始めたあたしにお母さんは驚いてる。




「どうしたの・・?ちーちゃん?」



お母さんに背をさすられ、あたしは息を吸って、声を吐き出した。




「お母さん・・・あたし・・・っ、いつまで、生きれるかなぁ・・・っ。」





わんわんと泣くあたし。


お母さんの手があたしの背をさすった。



「・・・どうしたのちーちゃん?」



「あたしも・・・長く、生きてたいよ…っ。」



「生きれるよ、ちーちゃん・・・。絶対大丈夫だよ。」




お母さんの優しい声が涙声に変わっていく。



「あたしと同じ病気の人で・・・長く生きた人なんかいない・・・っ。」



「昔と今は違うの。大丈夫。ちーちゃん、ちとせって名前はお父さんがくれた宝物だよ。長い年月を生きるの。」



「だっ・・って、最近、体おかしい・・。」



「弱気に・・ならないで・・。お願い・・・。」




まだ・・・死にたくない。




もっと生きたい・・・。


できたら、


大切なひとと一緒に



ずっと・・・笑っていたい・・・。






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