私の王子様を見つけました
着替えようとして気がついたけど、寝る時下着を着けるなと言うことは、服の下も着けない方が良いのかな。




迷いに迷って、着けない事に決めた。




シルクのワンピの上に、薄い感じのコートを羽織れば大丈夫だろう。



でも、電車に乗るのはきついな。



三枝木美奈さんに電話して迎えに来てもらおう。


電話しようと思ったら、携帯が鳴り出した。


電話は氷室直人からで、昨日下ろした所に迎えに来てくれるらしい。



電車代が助かった。



あの高級マンションに住んでるように、装わないと不味い。



早めにボロアパートを出て、高級マンションの前で氷室直人を待った。



氷室直人より早く着けて、本当にラッキーだ。


「コンビニのバイトだけで高級マンションに住めるなんて、凄いね。」



笑ってごまかした。



嘘ばかりをついていると、何処までが本当で何処からが嘘なのか、自分でも分からなくなる。



「真凛ちゃん下着着けてないの。」



頷いた。



これは嘘ではない。



「もう拓斗に洗脳されたみたいだね。」



洗脳?



寝る時も頑張って下着をつけなかったし、服の下に下着をつけたら確実に後がつくと思ったから。



拓斗に言われたからではなくて、自分でそうしたかった。



拓斗にどうしても認めて貰いたい。



先の事は考えずに、今はこの仕事に全てをかけたいと思う。



今月分の家賃もまだだし、光熱費も払わないと止められてしまうのだ。



友達にはモデルの仕事が忙しいと嘘をつき、両親には仕事が休めないと嘘をついて。


紗綾姉だけには本当の事を話してるけど、氷室拓斗に会えた事は当分言わないつもりでいる。



これ以上心配をかけたくない。



京香姉は絶対反対するから話せないし、京香姉にはOLしてると嘘をついてるし。



嘘をつく事にも疲れた。






















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