私の王子様を見つけました
足が痛くて涙が出るのか、社長の態度にムカついての涙なのか。


イライラがおさまらない。



暖房のきいた部屋の中は心地良いなと思ってると、目の前三奈貝社長がいた。


めんどくさい事に関わりたくないのにな。



「拓斗に甘えるのもいい加減にしなさいよ。あんたなんか商品価値もない女だって分かってるの。」


どうぞ。


好き勝手に言って下さい。


無言のまま知らん顔をした。


「私が話してるのに無視するつもり。立ちなさいよ。」


150cmぐらいしかないだろう、女社長を見下ろした。


「背が高いだけのモデルなら、いくらでもいるわ。」


三奈貝社長に何を言っても無言でいると、いきなり頬を叩かれた。


痛すぎるよ。


三枝木美奈さんが優しく抱き締めてくれた。


「いくらなんでも叩くなんて、後の撮影が出来なくなります。」


「この程度のモデルならいくらでもいるわよ。」


とうとう首かな。


又コンビニのバイトに戻ろう。


「俺は他のモデルと替えるつもりはない。」


三奈貝社長の顔が怖くて見れない。


直人さんが冷たいタオルを頬にあててくれた。


「一時間休憩があるから、冷やして後はメークで何とかごまかせる。俺がそばにいたのにごめんな。」


直人さんは何も悪くないのに。


拓斗は三奈貝社長を連れて部屋を出て行った。


スポンサーの三奈貝社長は拓斗にとって大切な存在。


まして、拓斗の彼女ならなおさらだ。


スタッフと直人さんも美奈さんもいるのに、何故か一人取り残された気持ちになる。


拓斗は何処までも遠い存在だ。




















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