私の王子様を見つけました
一時間の休憩が終わり、撮影が始まる時間に社長は一人で戻って来た。


三奈貝社長の姿はない。



社長は三奈貝社長の事にいっさい触れずに、撮影を開始した。


顔の腫れは大部引いたがメークで隠しきれなくて、アップにしていた髪を下ろす。


髪で顔を隠していると社長が近付いて来て、器用に髪のアレンジをしだす。


腫れている頬側に大きなハイビスカスの花をつけ、顔を斜めに向ければ花が頬をカバーしてくれた。


花嫁みたいに頭にベールをつけて教会の庭を歩く。



心地良い風が吹きカメラを持った拓斗に微笑みかける。


白い下着にはたくさんのレースがあしらわれて、まるでウエディングドレスみたいで綺麗だ。


教会の金が鳴り響くと思わず視線を上げた。


いつか私もウエディングドレスを着て、大好きな人とバージンロードを歩きたい。


そこに拓斗がいたら幸せ過ぎて倒れてしまいそうだけど。


そんな夢ぐらいみてもいいよね。



「真凛、顔がキモい。」


おっと、いけないいつもの妄想が。


笑ってごまかした。


その後も撮影は順調に進み、今日の予定は無事に終わった。


拓斗はみんなにお疲れ様と言い、私たちより先に帰って行く。


美奈さんがこの後三奈貝社長と食事に行くようだと言っていた。


私はルミエルの商品で、三奈貝社長は彼女だから。


立場が違い過ぎる。


直人さんと奈美さんと三人で食事をして帰る事になった。














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