私の王子様を見つけました
気がつくとベットの上にいた。


どうやって、帰って来たのかな。


気持ち悪くてトイレにかけ込んで、そのままそこであり得ないけど。


あちゃ、又やってしまった。


始めて飲んだお酒。


25才にもなって、何をやってんだろ。



情けない。


あれ、ベットの中に誰かいる。


恐る恐る隣を見ると、上半身裸の拓斗がいた。


どうして、拓斗がいるのでしょうか。


神様、教えて下さい。


このまま知らん顔をして、布団にもぐろう。


「バカか。」


いきなり布団をはぎ取られた。


寒い。


「酒が飲めないなら、飲むなよ。普通ならお持ち帰りされてるぞ。」


この状態はお持ち帰りされたと同じではないでしょうか。


「色気の全くないおまえを仕方なくここまで運んだんだぞ。」


荷物みたいに言わないでよ。



すみませんと謝ると、自分が下着姿である事に気づく。


アワアワしてると。


「おまえの下着姿は毎日見てるだろうが。」


はい、それはおっしゃる通りではありますが、自分で脱ぐのと脱がされるのでは、かなり問題が違うと思うのですが。


拓斗がガバッと起き上がる。


裸の拓斗を直視出来ない。


「重いおまえを運んで汗だくだ。シャワー浴びて来る。」


ごめんなさい。


ペコペコと頭を下げた。


私もシャワー浴びたいけど、我慢しよう。


喉が乾いたな。


下着姿のまま冷蔵庫を開けて、ミネラルウォーターをゴクゴクの飲んだ。


その時誰かが部屋に入って来た。


腰に手をあてミネラルウォーターを飲んでると。


「ちょっとあんた、拓斗の部屋で何してるのよ。」


え、あなたこそ誰ですか?


自分が下着姿である事をすっかり忘れていた。


拓斗が腰にバスタオルをまいて、現れた。


不味い。


これは修羅場になる。


女が拓斗にしがみついた。


「おまえとはとっくに終わってる。帰れよ。」


ちょっと待って下さい。


私が出てきますから。


下着姿のまま二人の前を走りすぎ、玄関まで急いだ。


腰にタオルをまいた拓斗に直ぐに追いつかれ、荷物みたいに担がれた。


バタ、バタ暴れても下ろしてくれそうもない。


そのままベットに放り投げられた。


「静かに寝てろ。」


この状況で寝れる訳がないでしょうが。


女が拓斗を罵る声が聞こえ、こんな状況の中で眠れるはずないと思ったのに、いつの間にか寝てしまった。


目が覚めると拓斗の姿はなかった。


彼女を送って行ったのだろうか。


その日拓斗は帰って来なかったが、こんな生活にも慣れてしまい、気にしても仕方ないと思うようになった。


10年間思い続けた拓斗はもう何処にもいないのだろうか。


















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