ツンデレくんに出会いました。
寒い、と思ったら、マフラーを忘れたことに気づいた。

「志満ちゃん、マフラーもう一つない?」
「さすがにない」

突然視界が真っ暗になって、目元に柔らかいものが当たっていると気づく。
それを引き剥がし振り向くと、駿哉がマフラーで目隠ししていたと理解した。

「病み上がりで寒いとこで待ってんな」

駿哉があたしを見下ろして、すぐに志満ちゃんを見た。

「なんか知ってる顔がおる」
「中出久しぶりー。元気にしとった?」
「見ての通り、奈子に呼び出されるくらいには」
「相変わらず仲良しやね」
「どこをどう見たらそうなるんや」

駿哉と志満ちゃんの会話を聞いて、妙にハラハラした。
いつもより不機嫌な声色で、きっと急いで来てくれたのだと思った。

「ごめん、家にいた?」
「わかっとるなら連絡よこすな」
「中出、奈子を送ってってあげて。私はすぐそこやから」

邪魔者は退散するわーと、志満ちゃんはさっさと帰っていった。

「帰んぞ」
「はい…」

残された2人が妙に気まずい。
駿哉がつかつかと歩いて、早歩きじゃないと追いつけないくらい速い。

「さっさと帰れ」
「はい…」

さすがに今日は終電までまだあるし、具合も悪くないので、泊まらせてくれとお願いする理由はない。
横顔で怒っているとわかり、黙って駿哉の横を歩いた。
駿哉のマフラーを巻いていることに気づいて、首から外して駿哉に差し出す。

「…あの、返す」

駿哉は何も言わず、しかし引ったくるように、あたしの手からマフラーを取った。
思わずカチンときた。

「あの、さすがに、態度悪すぎない?」
「は?」

あたし達は立ち止まって向き合った。
頭の中で戦闘開始のゴングが鳴った。
< 24 / 37 >

この作品をシェア

pagetop