ツンデレくんに出会いました。
雪解け
それから3日間、年末の追い込みで仕事が忙しくなり、最終日にやっと定時で解放された。
明日から絶対惰眠を貪ろう。
そう決めてマフラーを首に巻いて、ふと駿哉の甘い匂いを思い出した。
駿哉の熱い吐息と、触れた温もりと、狂いそうなくらい与えられた熱を思い出しては、いまだに体が熱を持つ。
冷たい外気を吸い込み、ため息が漏れる。
元彼とはいえ、付き合っていない人とやってしまった。
とぼとぼと歩きながら、自分の浅はかさが嫌になる。
駿哉もセフレの一人のつもりだったんだろうか。一回きりならセフレですらないのか。
行為自体10年ぶりの女をあれだけ優しく抱いておいて、そんな気はないとか、どれだけひどい男なんだ。
年末に浮かれた街を見て、また一人で取り残された気持ちになる。
ため息が白い靄になって消えていく。
この気持ちが10年前の未練なら、抱かれた時点で昇華されたんだろうか。
だとしたら、この感情は何なのだろうか。
その時、思いきり人にぶつかってしまった。

「あ、ごめんなさ…」

い、と言いかけて、口の中で消えた。
ぶつかった相手は駿哉だった。
鼻の先を赤くして、あたしを見下ろしてジロリと睨んでいた。
また怒らせてしまった。
身を翻してその場から立ち去るも、「おい、待て」と駿哉の声が追いかけてきて、後ろから腕を掴まれた。
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