運命の人
わたしたちはそのなかで初めてキスをした。
唇を離して目を開けると、真っ赤な顔な賢太。
「は、恥ずかしいな、なんか」
「わ、わたしもそう思った」
お互い真っ赤な顔をして見つめ合う。
そして笑う。
「…このあとどこ行こうか」
「少し電車乗って映画でも行こうぜ」
そう言って賢太はわたしの手を握る。
あたたかい。
「…手汗やばいよなごめんな」
「あ、わたしも…」
しばらく黙って手を繋いで歩く。
横目でチラチラ賢太を見ていると、途中で目が合って恥ずかしくて目を逸らす。
すると賢太はわたしの顔をのぞき込む。
「なによう」
「いやー、可愛いなーってな」
いたずらに賢太は笑う。
すぐからかうんだから。
初めて繋いだ男の人の手と、はじめてのキス。
かなり恥ずかしかったけど、幸せ。




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