運命の人

真実

つぎの日。
「結論、二人のことは顔見知り。幼なじみではないと言ったのですね?」
いつになく真剣な加宮さん。
「うん、その後ははぐらかされちゃった」
綾野はだから俺らが言ったほうが早いと教室から出ようとする。
それを止める宮沢。
「ただ、実樹はなにか隠してると思う」
その言葉に反応したのは宮沢。
「…無理に調べようとするのはやめようぜ。あいつにも迷惑だ」
そう言って宮沢は席を立つ。
「宮沢くん、どこに?」
「…べんじょ」
誰とも目を合わさずに教室を出ていく。
「心配ですね、行ってきます」
「男子トイレには入っちゃダメだよ?」
返事をせずに加宮さんは姿勢よく歩いていく。
「…聞いてたかな」
「大丈夫だろ」
綾野は相変わらずニコニコしている。
いつでも元気なんだな、ほんと。
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