白い月~夜明け前のその空に~

昼休み、陸は素早く行動した。

Tシャツのカタログを黒板に貼り出し、クラスメイトの目を一度に引かせ、そして昼休みが終わる前までには、クラス全員分の申し込み書の記入を終えた。




学校での陸は、運動も成績も優秀だったが、特定の友人を作ることはなかった。

ほとんど単独行動。



休み時間には文庫本を読んでいるか、寝ているかのどっちか。


雨の日を除いた昼休みには、校舎と特別棟の間にある中庭の端の錆びたベンチにいた。



誰とも関わりを持たない彼を、周りは咎めず無理強いもせず、でも学級委員長として頼りにはしていた。









木陰の下のベンチは、いくらか風が通り、残暑の中でもそれほど苦痛は感じなかった。


陸は薄い青空をぼうっと見上げた。

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