下僕お断り!
と思っていたら。
「ねえ、きみ~」
ぐい、と私のポニーテイルが、見知らぬ女性に後ろへ強く引っ張られる。
「いたっ」急な出来事に後ろに下がってしまい、その間に数人の美女が入り込む。
「あっ」
と言う間に、私と矢吹の距離は遠ざかった。
「月花!…何、お姉さん方」
不機嫌そうな声音で矢吹が女性を見下ろす。
派手なメイクをした彼女達は、にやにやと笑いながら自分の体を矢吹に押し付けている。
「私達と遊ばない?」
「あんなダサい子相手にしてて、楽しくないでしょぉ?」
「あれはちょっと…ないよねぇ」
「うんうん」
カッチン!
こっちを見てくすくす笑う彼女らに、文句を言おうとして――
「まあ確かにね。隣に居るだけでも嫌だし、女子としてどうかとは思う。捨ててるんじゃない?女ってやつ。本当は関わりたくないケドさ、仕方なくだよ。あんな男女、普通声かけないデショ」
平然と、軽く、矢吹が言った。
グワン、と頭がうたれたような気がして、次に胸の辺りがすごく痛くなった。
何、これ。
「だよねー」と笑う声も遠ざかる。
ただ、『男女』という矢吹の言葉だけがループする。
なんでか、すごく胸が痛くなって。
なにそれ、酷くないか。
確かにそうだけど、そんな言い方ないじゃん。
快諾してくれたのはそっちじゃんか。
『男女』ってたくさん言われてきたけど、こんなにショックなのは初めてで。
すごく苦しくなった。