不機嫌なアルバトロス
「くそばばぁ」
お局がロッカールームを出て行った瞬間、誰も居ないことをいいことに思い切り悪態を吐いた。
こっちだって伊達に5年もいない。
上へのゴキゲン取りも、下への先輩風もどんな案配でやればいいかくらいわかってるつもりだ。
もちろん自分へのケア、つまりストレス発散の仕方もね。
今しがた自分の発した台詞で大方スッキリした私は、自分の社員証を付けようと探す。
今朝ゲートを通る際に、横着な私は前の人に続けて入ったので今更なのだが。
ここの警備員も、たるんでるな―
自分勝手極まりないことを思いながらバッグをがさがさと漁る。
「?」
あれ。
四角いプラスチックケースの感触も、長いストラップの感触もしない。
おかしいな。
よーくバッグを覗き込んでみる。
「…ない」
社員証が、ない。