不機嫌なアルバトロス
「え、と?」


なんで、この人がここに居るの?



状況が掴めず、ただただ彼を見つめる。





「突然申し訳ありません。あの、朝道路でぶつかったのですが、私のこと、覚えていませんか?」




焦ったような顔で私に問う。



こっくりと私は頷く。


忘れるといいながら。



覚えていますとも。




十分すぎるくらいに。




「良かった。実はあの時、社員証も拾っていたのに自分としたことが、お渡しするのを忘れてしまって。途中で気づいて引き返した時にはもう遅かったようで…迷ったのですが、仕事でここの近くに用事がありましたから、ついでに届けに来てしまいました。」



申し訳なさそうに彼はそう言って、私の社員証を差し出した。



「えっ、、わざわざありがとうございます。あの…あなたこそ、電車に乗り遅れたりされたんじゃないですか?」



内心パニックに陥りつつ、私も恐縮しながら訊ねる。




「大丈夫です。私は電車ではなくて、車通勤ですから。今日はたまたま駅のパーキングに停めて用事を済ましていたんです。」



にっと笑った笑顔が眩しい。
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