不機嫌なアルバトロス
わかってる。営業スマイルだって。


どきどきする自分の心臓を叱る。



だけどこんなことってあるんだな。


たまたま今日のあの時間に居合わせて、たまたまぶつかる。


そして、たまたまこの近くに用事があったから、届けてくれる。


その上、こんな文句なしのイケメンで。


周囲の視線が彼に注がれているのがわかる。



話している相手が私と分かってさぞかし皆悪口を言っていることだろう。




わかりましたよ、私からもう解放してやりますよ。



狭い心で色々考えて、



「本当に、わざわざありがとうございました」




私は深々と頭を下げた。


心の中で念じる。

貴方は私なんかとツーショットでいちゃいけない人間なんです。


どうかあらぬ噂を立てられる前に、ここから居なくなってください。

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