不機嫌なアルバトロス
「ちょっと、奥に詰めてくれる?」


「え?あ、はい」


てっきり私は彼が運転席に行くものだと思い込んでいたので、手前に座ろうと思ってしまったのだが、彼は後部座席の私の隣に座った。


近っ


心中で叫び、心臓の音が伝わってしまわないように、反対側のドアに身体を押し付けるようにして縮こまった。



「ふっ、そんなに離れなくても…」



彼がそんな私を馬鹿にしたように笑う。



キーレスで勝手にかかったエンジンと一緒に温風が車内の温度を上げる。



私の頬は、それとは無関係に紅潮してしまう。



「ちょっと、時間がないから、さくさく終わらせるね?」



腕時計に目をやると、彼は切り出した。
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