一つ屋根の下
何も言わず小さく頷く蒼空に、愛が続ける。
「お母さんのことも、気負わないで、嫌だったら嫌ってゆうんだよ。蒼空なら大丈夫。がんばってこい!」
愛は蒼空の腰に回した手をほどくとにっこり笑って、走ってテニス部の子たちのところへ戻った。
「愛!」
唇を結んで瞳をうるませていた蒼空が叫ぶと、愛は振り向く。
「あーりーがーとー!」
青空に響き渡る済んだ声に、愛は手を振って答えた。
やっぱり愛に隠し事は出来ない。
一粒だけ頬を伝った涙はなかったことにして、蒼空は自転車に飛び乗る。
大丈夫、私なら頑張れる。
そう言い聞かせるようにペダルを踏むと、さっきより蝉の声が大きくなった気がした。
「お母さんのことも、気負わないで、嫌だったら嫌ってゆうんだよ。蒼空なら大丈夫。がんばってこい!」
愛は蒼空の腰に回した手をほどくとにっこり笑って、走ってテニス部の子たちのところへ戻った。
「愛!」
唇を結んで瞳をうるませていた蒼空が叫ぶと、愛は振り向く。
「あーりーがーとー!」
青空に響き渡る済んだ声に、愛は手を振って答えた。
やっぱり愛に隠し事は出来ない。
一粒だけ頬を伝った涙はなかったことにして、蒼空は自転車に飛び乗る。
大丈夫、私なら頑張れる。
そう言い聞かせるようにペダルを踏むと、さっきより蝉の声が大きくなった気がした。