一つ屋根の下
『パパ、ほんとにいいの!』
『ああ。蒼空、決めたからには頑張るんだぞ』
『やったあ!うん、そら、がんばる!』
小学2年生になった蒼空は、ピカピカの水泳バッグを片手に、瞳を輝かせていた。
『えーっと、くろうるは、こうやって…』
父はそんな蒼空の様子を、微笑みながら見つめている。
この子には、好きなことをさせてあげたい。
そうは思っても、サーフィントレーナーの不安定な給料だけで親子が生活するのは、決して楽ではなかった。
蒼空が小学1年の冬、娘の帰りが早くなったのに気付いた父は、蒼空に訳を聞いた。
言葉を濁す蒼空。
なんとなく聞き取れた消え入りそうな声は、父を罪悪感に浸らせた。