届かぬ声を、君に。
駅に行く途中。
私は、ふと公園を見る。
すると、地面に私と同じくらいの男子が膝をついて倒れていた。
服は汚れていて、何かいじめられた後みたい。
その人は膝に着いた砂を払っている。
なんだかその光景がかわいそうで、私は声をかけた。
「……大丈夫?」
その人は、私が声をかけても気付かない。
「ねぇ、大丈夫?」
私は、ちょんちょんと肩をつつきながらそう言った。
すると、彼は私を見て目を見開いた。
その瞬間、なぜか胸がドキッと高鳴った。
だって、その人があまりにも整った顔立ちだったから。
綺麗な目。
ふわふわした茶色い髪の毛。
整った鼻。
その人は、ゆっくりと立ち上がって頷いた。
私よりも10cmくらい身長が高くて、よく見たら私の通っている高校の制服を着ていた。
すると、彼はペコリと頭を下げて走っていってしまった。