守ってダーリン!
「大丈夫です!じゃあ・・・私は適当に買い物してから帰りますね。」

私より落ち込んでいそうな市谷さんに、わざと明るく返事する。

「あ・・・いや・・・いま、詳しくは話せないんだけど・・・。

すぐ、家に帰ってほしいんだ。後で、必ず説明するから。」

「え?あ・・・はい、わかりました・・・。」

疑問を感じる彼の言葉。

私の頭には「?」が並んだけれど、妙に切羽詰まっている彼の表情に、わからないながらも頷いた。

「本当にごめん。

・・・また、今度ゆっくり会えるかな。」

切なげな彼の声に、胸がきゅっと締め付けられる。

「はい・・・もちろん。」

「じゃあ、送っていけないけど・・・。ごめん。気を付けて帰って。」

「はい。大丈夫です!お仕事、がんばってくださいね。」

「・・・ああ。」

頷くと、市谷さんは私の頬にキスをした。

「!」

それは本当に、一瞬すぎる出来事で。

まるで、夢でも見ているようだった。

「じゃあ。」

甘く微笑むと、市谷さんは走ってロビーを抜けていく。

いまの出来事を確認するように、私は自分の頬に触れてみる。

唇の感触が残ったその場所は、火照るように熱かった。

胸が、ドキドキする。

まだ、「好き」だという直接的な言葉は言ってもらってないけれど。

私にとってこのキスは、同じくらいの威力があった。






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