守ってダーリン!
とろけるような気持ちで市谷さんを見送った後、私は、ショッピングゾーンの外に出た。

すぐ家に帰るようにと、市谷さんは言っていた。

郊外にあるため、最寄り駅に行くには、車でも15分はかかるこの施設。

彼のいう「すぐ」は、どれくらいを表すのかわからないけれど、切羽詰まった様子を思いだし、私は最短で帰れる方法を考える。


(バスはあんまりないみたいだし・・・結構遠回りするもんね。

うーん、そうすると・・・タクシーにしよう!)


そう決めた私は、ショッピングモールの端に設けられているタクシー乗り場に向かって歩いた。

元々、車での来店客が多い施設だし、中途半端なお昼の時間帯ということで、50m程先に見えるタクシー乗り場には、空車が3台も止まっていた。


(よかった。すぐに乗れそう。)


そう思ってタクシー乗り場へ続く遊歩道を歩いていると、少し前方に位置した右側の生垣で、口論をしている2人の男性の姿が見えた。

ガタイのいいスーツ姿の男性と、カーキ色のジャケットを羽織った、色の白い小柄な男性。

スーツの男性が、小柄な男性を、一方的に責めたてているように見える。


(もめ事かな・・・ちょっと怖いな・・・。)


そう思って、少しだけ歩みを遅くする。



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