守ってダーリン!
退院翌日の朝は、空気が澄んで、空は冬らしく晴れていた。

お姉ちゃんは「もう一日一緒にいようか」と心配してくれたけど、私は何度も「大丈夫だから」と言って、そのまま会社に行ってもらった。

身体はどこも痛くないし、事件のことも、直前の光景を少し覚えているくらい。

だから、私自身は、本当に大丈夫だと思っている。

思っているけど・・・。

つらいのは、市谷さんが私のためにケガをしてしまったこと。

昨日見た彼の顔のキズや、手足に巻かれていた包帯のことを思い出す。

正確なことはわからないけれど、かなりの傷を負っていることは、ほんの少し会っただけの私にだって、さすがにわかる。

ぎゅっと、胸が痛む。


(・・・うん。今日も、行こう。)


昨日の今日で、会いに行っていいのか悩んだけれど。

やっぱり、今日も市谷さんに会いたい。

そして、何か勇気づけられることがあればいいのに。


(・・・そうだ!)


いまの私に出来ること。

本当に、ほんの些細なことだけど。


(差し入れ、作っていこうかな。)


甘いものが好きな彼に、心ばかりの私の気持ち。

いろいろと悩んだ末、包帯の手でも気軽に食べられるクッキーを作ろうと決めた私は、早速キッチンに立ってボールに小麦粉を振り入れた。


(喜んでくれるといいな。)


そう思いながら、オーブンで焼きあがったクッキーを包むと、私は彼のいる病院へと向かった。
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