いろはにほへと
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翌日。



「…私、昨日これに乗ってきたばっかりなんですけど…」



駅のプラットホームで、私はたった今到着したばかりの東京行きの新幹線を指差した。



「善は急げ!」



右隣では早川さんがよくわからない決めポーズをつけている。



「実は、スケジュールが立て込んでて、一刻の猶予も残されていないんだ。」



左隣に立っているトモハルが、小声で私に耳打ちして、大人の事情というやつを教えてくれた。


一応、家には、姫子さんの屋敷を出る際、急用ができたのでこれから帰るという旨を電話で伝えておいた。


母はとても驚いていて、『何があったの!?』とあれこれ要らぬ心配をしていたようだが、私自身も何があったかと上手く説明できるわけもなく。




『まぁ、、会ってみればわかると思います。』



と、答えるだけで精一杯だった。



母の声は更に心配の色を増したが、私はそのまま受話器を置いた。


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