いろはにほへと
昨晩は、トモハルと早川さんは、さすがに未成年の女子一人の家に泊まることはできないと―あがりこんでおきながら―近くの民宿に素泊まりして、朝、迎えに来た。




「ひなのー、ポッキー食べる?飲み物なんか買う?」


「あ、やめろ、俺の財布を勝手に…」



車内に乗ると、すっかり遠足気分の前の二人。もとい、一人。



今回は人目もある為、トモハルはしっかりと変装している。


赤茶けた長めの髪は青いキャップに隠されて。

目にはサングラス。

この暑い日に、怪しげなマスクまで。


なのに上はファンキーなプリントTシャツに、下は短パンというミスマッチな出で立ち。




「結構です。。。」


自分よりも幼いのではないかと思うトモハルを見ていると、自然と溜め息が零れた。



「え?!何!?怒った?なんで!?」



当然のトモハルの反応にも上手く返すことができずに、私は頬杖をついて窓際に視線を向けた。



トモハルは大人で、自分は子供。



世間一般が引くその線については、トモハルが居なくなった日からずっと、いや、ルーチェのハルの年齢を知ってからずっと、私の胸をちくちくと刺し続けている。


ただでさえ、芸能人と高校生。


不動のラインが二重になっている、なんて。


自分とトモハルとの距離は、天と地ほどに、遠い気がしてくる。




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