いろはにほへと
その後の澤田との会話で、どうやらトモハルの声が出なくなってしまったらしい、という事を知った。

知った所で、今更私に何ができる訳ではない。
まして、今迄だって、出来なかったのに。

ただただ心配で心配で、無力な自分に嫌気がして、の繰り返し。

夜、桂馬から来たメールは、何にも触れてなくて、私からも、話題を避けた。

仕方ないと思い込むことで、日常を取り戻そうとして、周囲の会話をシャットアウトするのに成功して、考えないように、勉強に集中した。


だけど。



「ハル、新しいマネージャーとのキス写真が流出したらしいね?!」


それから、2週間後の新情報は、微かに残っていた私の心を粉々に砕くだけの威力があった。

女子の悲鳴が、教室に響く。


「ハルって、こないだも騒がせたばっかだよね?こんな女遊び激しい人だったっけ?」

ちょっと、幻滅かも、なんて声も挙がっていて、ズキズキと胸が痛んだ。




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