いろはにほへと
ざわざわ、ざわざわ、する。

心が、胸が、頭が。


自分の内を、トモハルが占領してしまわないように、暫くは距離を置いて、受け入れられるようになるまで観ないって、考えないって決めたのに。


こうして耳から入ってくる話すら、排除できないどころか、こんなに動揺してしまっている。


髪を切ったせいか、周囲には出欠の返事まで気付かれることなく、嫌がらせも大したものはなかった。


つまり、人気絶頂のルーチェの活動休止の報道のお陰で、先日の私との記事なんか構っていられなくなったのだと思う。


勿論、澤田もそのことを知っていたようだが、遅刻ギリギリでやってきたせいで、詳しく話す時間はなく、「後でね」とだけ私に言うと、席に着いた。


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