電波ジャック~ハロー・ラバー~
屋上に一人残された相田。
俺は声をかけるべきか迷う。

けど声をかけるってことは、聞かれたくなかっただろう別れ話を、しっかり聞いてしまったと暗に伝えるわけで……。

迷っている内に、俺の頬を一筋の汗が流れる。
相田は俯いているのだろうか。少し首に角度をつけた体勢のまま、動かない。

俺は声をかけるべきか迷う。

ふいに、相田の手が自分の眼鏡に伸びた。


まずい。直感がそう告げる。


眼鏡を外すと、制服のポケットからハンカチを取りだし、目元を何回か押さえた。


俺の頭に、「=泣いている」という公式が勝手に成り立ってしまった。

声をかけたい。

俺の頭にはそれしか浮かばず、気付けばハシゴに手を伸ばしていた。
屋上のコンクリートに足が着くと、相田の姿がない。


声をかけたい。


それしか頭にない俺は、慌てて扉を開けた。








「相田!」

彼女はもう四階に降りていて、教室のある三階へ足を伸ばそうとしていた。
< 5 / 32 >

この作品をシェア

pagetop