冷たい手
ミカは部屋に入り、扉をしめる。そして、あたりを見回す。
部屋の中は、アパートの部屋が広くなったようなつくりだった。
入り口から、左側に台所。右側には居間があった。
その奥にはまた扉。そこから先はわからない。

『いらっしゃいませ。』
「え?!」

部屋の中で、誰かの声がした。
誰かの声が組み合わされたような、そんな言葉で、いらつしやいませとも聞こえてた。

「おじゃまします。」
ミカは声の主がわからないながらも挨拶をする。
やっぱり、この服の持ち主がいる。自分はここにいて良いのだろうか。

しかし、ミカはあることに気づく。
声のした方向には、ダイチがいるだけ。
ダイチは小さなテーブルの上におかれたパソコンと向かい合っている。
そして、ダイチ以外部屋には人がいないかった。声も男の声に聞こえた。
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