【短編】穴
「さぁさぁ、上がって!中でお茶にでもしましょう」

と、おばあちゃんに勧められ、皆のあとをついていった。 


カラカラカラカラ……と、2メートルはあろうかという玄関の引き戸を開け、中へ足を踏み入れた。 


畳だろうか。


ぷーん、と井草のいい匂いが立ちこめる。 


玄関には、大きな鷹の剥製や胡蝶欄が飾られている。 


玄関から真っ直ぐに突き抜けるこの広い廊下が、幼い頃から大好きだった。 


幅が150センチと言っていたから、ちょうど私の背丈と同じくらいだ。 


廊下で寝ることだって、可能だ。


小柄なお母さんだって、身体を少し曲げれば、きっと大丈夫なはず。 



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