【短編】穴
「あら、おじいさんは?」

お母さんが尋ねると、 


「あぁ、もうじき帰って来るよ。まだか、まだかって、さっきから何度も電話を掛けてきたから」


「そう」


そんな話をしているうちに、本当におじいちゃんが帰ってきた。


「あっ!おじいちゃんだ!」


ガタガタガタガタ……と、コンクリートとタイヤの重なり合う音を立てながらトラクターに乗ったおじいちゃんがやってきた。


「みんな元気だったか?」


真っ黒に日焼けした顔をくしゃくしゃにして、おじいちゃんが話す。 


「うん!」


とびっきり元気な声で返事をした。 



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