Again
しかし、目覚ましをセットしていたのに、やっぱりセットした時間よりも早く目が覚めてしまった。





「まだ朝の5時か……なんだか、もうドキドキしてる」





ベッドから出て、カーテンを開けると外は快晴だった。



一人で飛行機に乗るのは初めての経験だし、ましてやファーストクラスだ。本当に子どものようにドキドキしてしまう。昼過ぎのフライトなのに朝からこんなに落ち着かないようでは、何か大事な物を忘れそうで怖い。ファーストクラスの楽しみは、シャンパンに機内食と、まだまだ沢山ある。楽しいことがまっていると、気も急いてしまうのだろう。



すっきりと目が覚め、キッチンでコーヒーと前日に買っておいたパンを食べる。





「少し緊張するけれど、早めに行って、やっぱり空港のファーストクラスラウンジを利用しようかな?」





昨晩、空港のホームページを見てみると、ファーストクラスの乗客は、ラウンジを使用することが出来て、食事やワイン、マッサージチェアなどもあるとなっていた。ラウンジの利用は特別感がある。やはり、旅を満喫するには、ラウンジからと勝手に決め、予定していた時間よりも早く家を出ることにする。

そうと決まれば、朝食をさっさと済ませ、後片付けを始める。少ない洗濯物を洗濯機に入れ、回す。掃除機をかけ、拭き掃除を済ませた。一通りの掃除が終わった頃、洗濯も終わり、洗濯物を干す。





「よし。気分もすっきり」





葵の満足がいく家事を終えると、自分の支度にとりかかる。時計を見るとまだ8時を少し過ぎたばかりだった。

長時間のフライトに備え、楽なパンツスタイルにしてメイクはナチュラルにする。急いで支度をしたわけではないけれど、9時には全ての葵の支度は終わっていた。





「やっぱりワンピースにしよう」





ネットで、ファーストクラスの過ごし方を検索しては、どうするか考えていた。





「飛行機に乗って、着替える。これがいいわね」





ラウンジを利用するのに、ラフすぎる服はいただけないと考えた。一度着た服を脱いで、ワンピースに着替える。





「少々面倒だけど」





葵は、着替えた姿を鏡で見て、自分に満足した。

かなり早い旅立ちだけれど、家で時間を気にしながら過ごすよりは、空港に行っていた方が落ち着く。葵は部屋を見て回り、ガスなどのチェックをするとトランクを持って、玄関に行く。





「いってきます」





フラットシューズを履き、返事のない家に向かって言うと、玄関ドアを開けて家を出た。

< 99 / 163 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop