現実は小説よりきなり
「うん。嵐ちゃんとはマブダチだし」
とピースする美樹に呆れた視線を送ってから、私は背を向けてリビングへとやって来た。
「相変わらず広いね?」
と後ろから着いてきたのは可奈で、
「ま、広さだけはね」
と苦笑いで返す。
「嵐ちゃん、その部屋着可愛いね。背中の虎格好いい」
目をキラキラさせるのは眞由美と一緒にリビングに入ってきた美樹で。
美樹ってこう言う色好きそうだもんね?
しかも、美樹が言った様に背中にはリアルな虎がデカデカと描かれてるんだよね。
ヤンキーじゃないっての。
「そう?ママが送ってくるんだよ。意表を突いたのを着なさいとかって」
ママは結構チャレンジャーで、私が着そうにない物をわざわざ選んで買ってくる節があるんだよね。
これで結構困った事をあったし。
黒歴史を省みる。
「蘭ちゃんのママさんセンスいー」
美樹、そんなに興奮しないで。
「...そのセンスの良さが私には分からないよ」
項垂れて溜め息を一つついた。
「ま、ほら、ママさんも色々あるんだよ、きっと」
眞由美、それ慰めになってないからね。
「嵐のママってファンキーなんだね」
変な納得しないで、可奈。
「適当に座っておいて。お茶の用意でもするから」
はぁ...と肩を落とすとキッチンへと向かう。
この部屋着は失敗だったかも知れない。
いや、美樹に言われるまで背中の虎柄を実は忘れてたんだよね。
ほら、鏡じゃ背中ってほとんどの見ないしさ。
この部屋着は、一人の時限定だな。
心に極めて、サイフォンのスイッチを押したのだった。
コポコポと音を立てながら動き出したサイフォン。
収納棚を開けながらリビングの皆に声をかける。
「お茶菓子は何が良い?色々あるけど」
「あ、選びたい」
と手を上げてこちらに向かってきたのはもちろん美樹で。
「じゃ、美樹ちゃんのセンスに任せる、ね?眞由美」
と可奈が隣に座る眞由美を見る。
「うん、だね?」
と眞由美も頷いた。