現実は小説よりきなり
夕飯後、シャワーを浴びて部屋着に着替えた。
宿題を手早く終わらせても、落ち着くことなんて出来なかった。
いつもならぼんやり過ごす時間なのに、立ったり座ったり、リビングをウロウロしたり。
刻一刻と迫る約束の時間に恐々としていた。
なんらかの形で私の秘密を知ったらしい琉希也君。
彼はどんな話をしに来るつもりなんだろうか?
半ば強制的な約束の時間は、後30分と迫っていた。
すっかりと暗くなった窓の外を見つめながら、窓ガラスに手をついて溜め息を吐き出した。
本当に有り得ない。
彼は私の情報をどこで知り得たのだろうか?
学校の誰にも秘密にしてたし、念には念を入れて隠していたと言うのに。
小説の更新だって、学校じゃ全くしてなかったし。
本当に意味分かんない。
暗い外のせいで私の姿を鏡のように写し出す窓に、ハッと気づく。
この部屋着は大丈夫?
モコモコタオル地のフード付きのパーカーとショートパンツ。
......不味いな、これ。
何も考えずに普段通り着てたけど、男の子を部屋に迎える格好じゃない。
秘密を知られた事に気を取られてて、自分の格好まで気が回って無かった。
ほら、べ、別にそう言うのを意識してる訳じゃないけど。
一応、ほら、私も女の子だし.....。
琉希也君は私になんてそんな気は起こらないだろうけど、一応ね?
「ヤバい、早く着替えよう」
窓ガラスに背を向けて歩き出した時だった。
コンコンコン
ベランダ側の窓ガラスをノックする音に、ギギギッと音が聞こえそうになるぐらい不自然に首を動かした。
.....うん、何も見てない。
そう思い込んで歩き出す。
笑顔で手を振ってる琉希也君なんて見えてない。
一先ず寝室で着替えて戻ってこうよ。
「おいっ!何見えねぇ振りしてる。早く開けやがれ」
って琉希也が低い声で言いながら、窓を叩く。
「あぁ~騒がないで」
他の寮生にバレちゃうじゃん。
半泣きになりながら、琉希也君の居るベランダへと駆け寄る。
もう、何してくれちゃってんのよ。
有り得ないからね。
慌ててベランダの鍵を開けた私。
「開けんの遅せぇよ」
と文句言う琉希也君に、
「そ、そこで騒がないで早く入って」
と彼の腕を引いてリビングに引き入れた。